アスレチック強化ジャーナル

同側持続膝関節トルク維持中の対立筋長潜時反射

大工谷真一1*、岡山由美2、矢部京之助3

目的：運動制御時の中枢神経機能の興奮性を明らかにするための予備研究として、一定の強度で膝伸展トルクを維持した状態で、上肢における上位中枢神経機能の興奮性の指標である長潜時反射の様相を明らかにする。

方法：健常者を対象に、視覚フィードバックと言語指示により個々のピークトルクの25%を維持しながら、さまざまなフィードバック方法により膝伸展の同側持続トルクデモンストレーション中に母指対立筋から長潜時反射を記録した。取得した波形から、各タスク間の長潜時反射の出現特性を視覚的に検査した。

結果： 10人中8人において、課題の違いに応じて長潜時反射の様相が変化した。

考察と結論：下肢の運動制御であっても難易度が高くなると、高次皮質の興奮性が高まる可能性が示唆された。下肢の運動制御の微調整が求められる課題であっても、上肢に関連する大脳皮質機能の興奮性が高まる可能性が示唆された。今回の実験では、課題の個々の難易度や下肢の技能について被験者ごとに言及することができないため、課題の明確な条件、特に個々の難易度や技能のもとで追跡調査を行う必要がある。