玉本崇史、熊野美月、五十嵐宏崇、米澤知宏*
最近、ヒト用の新しいフラッシュグルコースモニタリングシステム(FGMS)が開発された。FGMSでは、専用のセンサーを皮下に挿入することで、間質液中のグルコース濃度を14日間連続して測定する。ヒト医療用に開発された装置であるが、犬のグルコース濃度測定にも使用できることが報告されている。本研究の目的は、糖尿病(DM)と診断された犬におけるFGMSの使用経過をまとめることであった。本研究には、DMと診断された4頭の犬が含まれた。いずれの症例も、治験の開始は入院下で行われ、入院中にセンサーが装着された。FGMSの使用に加えて、血糖値測定のために血液サンプルが採取された。血液中のグルコース濃度は、FGMSで測定した間質液中のグルコース濃度と比較された。全症例はセンサーを装着したまま退院し、FGMSによる測定は自宅で継続された。血糖値とFGMSで測定したグルコース濃度の間には非常に強い相関が認められた。 4例中2例でFGMSの結果に基づいてインスリン投与量が変更され、安定した血糖コントロールが得られた。残りの2例でもFGMSにより血糖値が良好にコントロールされていることが確認された。設置場所についてはさらに検討する必要があるが、この症例シリーズによりDMの犬に対するFGMSの臨床的有用性が証明された。