宮城章宏、三好巌
近年、管理されていない竹林が急斜面に広がり、植生の変化が斜面の不安定化につながることが懸念されている。そのため、竹の地下茎が斜面の安定性に与える影響を評価するためには、竹の地下茎の引張強度に関する知識が必要であるが、このテーマに関する報告は多くない。また、竹の地下茎と木質の根は組織構造が異なるため、竹類として試験する必要がある。本稿では、組織構造を考慮した引張試験と生きた地下茎に基づいて、モウソウチク(Phyllostachys pubescens)地下茎の引張強度を報告する。モウソウチクの引張強度は節間よりも節で弱く、組織観察により、組織繊維が不連続な部分では引張強度が低下することが明らかになった。引張強度に影響を与える表皮層の断面積は、断面積に正比例した。以前の報告によれば、
管理されていない竹林の根茎の直径は管理された竹林よりも小さいため、管理されていない竹林は斜面の安定性を低下させる可能性がある。