サラ・ゲブリル、オム・アリ・エルカワガ
現在、併用療法は癌治療の要となっている。異なる抗癌メカニズムを組み合わせることで、腫瘍細胞の静止状態を誘導することができる。しかし、正常組織への毒性が既存の併用薬の主な制約となっている。本研究では、マウスに接種したエーリッヒ腹水癌(EAC)を、シスプラチンの1回投与と、その後のメトホルミン(抗癌効果のある安全な抗糖尿病薬)の投与で標的とし、EAC細胞を静止状態に維持し、腫瘍の再発なしに生存期間を延長した。併用療法を受けた群では、悪性腹水ではなく、遅延性固形腫瘍が発生した。EAC細胞における化学静止状態の誘導は、ラパマイシンの機構標的(mTOR)のダウンレギュレーションとサイクリン依存性キナーゼ阻害剤1(p21)発現のアップレギュレーションによって証明された。興味深いことに、遊離腫瘍細胞の固形腫瘍への変換は、EAC細胞におけるΔNp63免疫染色の大幅な減少と関連していた。これらを総合すると、シスプラチンの単回投与に続いてメトホルミン投与は、固形腫瘍への変換、化学静止の誘導、生存期間の延長によって悪性腹水の攻撃性を克服することができる。