福島富士子、児玉川島知子、大沢恵理、林ともさ
背景:近年の日本社会の変化、例えば少子高齢化や少子化は、乳幼児のいる家庭に深刻な影響を及ぼしている。2006年の報告では、日本では妊娠中および出産後3か月以内の大うつ病エピソード発症率はそれぞれ5.6%および5.0%であった。保健所は1960年代から産後期の母子ケアにおいて中心的な役割を果たしてきた。本研究の目的は、現在の公的産後ケアサービスと地域の人口統計学的要因との関連を明らかにすることである。方法:横断研究を多重回帰分析を用いて実施した。一次データは、2012年12月に1,742の保健所に郵送された半構造化独自の質問票を使用して収集した。人口統計学的要因に関するデータは、全国オープンデータソースから取得した。結果:回答率は45.1%で、有効回答率は41.6%(725/1,742)であった。回答者725人のうち、60人が保健所、665人が市町村保健所であった。多変量解析では、保健所は、新生児訪問、Hello Babyプログラムまたはその両方、紹介後の専門家による家庭訪問、家事の手伝いの提供のORが統計的に有意に高かった(OR=2.66、95%信頼区間1.35~5.24、p=0.005、OR=7.52、95%信頼区間2.56~22.10、p<0.001、OR=4.30、95%信頼区間2.01~9.17、p<0.001)。結論:家庭訪問サービスは提供された主な公的資金による産後ケアであるが、家族のサポートがない経済的困窮の若いカップルに適した公的施設ベースのサービスは日本では非常に限られていた。多変量解析の結果、人口が少なく財政力指数が低い自治体ではサービス提供が困難であることが分かりました。公的産後ケアサービスの格差を縮小するには、行政による財政支援も含めた総合的な取り組みが必要と考えられます。