近藤有希1、澤竜一2、蛯名葵1、重本千尋3、奥村真帆1、松田菜緒花1、小野玲1*
要約 目的:出産後の妊娠性腰痛は大きな問題であるが、その危険因子は十分に解明されていない。本横断研究の目的は、胸椎屈曲およびハムストリングスの柔軟性と出産後 4 か月の妊娠性腰痛との関連性を検証することであった。方法:本横断研究は、兵庫県の保健福祉センターで妊娠中に腰痛を呈した産後女性 74 名(平均年齢 31.1 ± 5.0 歳)を対象に実施された。出産後 4 か月の妊娠性腰痛は、自己申告の質問票を用いて評価した。胸椎屈曲の可動域(ROM)は、ダブル傾斜計法を用いて測定し、3 分位区分に基づいて分類した。座位膝伸展テストで決定された膝の完全伸展から 20° 以上の制限は、ハムストリングスの緊張を示しているとみなされた。結果:出産後のPLBPは、胸椎屈曲ROMの最低三分位の女性の方が最高三分位の女性よりも起こりやすかった(オッズ比4.25、95%信頼区間1.29~14.03)。ハムストリングスの硬さは出産後のPLBPと関連していた(オッズ比3.27、95%信頼区間1.14~9.32)。関連する交絡変数を調整した後も、胸椎屈曲ROMとハムストリングスの硬さは、出産後のPLBPと有意に独立して関連していた(胸椎屈曲ROM:調整後オッズ比4.70、95%信頼区間1.16~19.01、ハムストリングスの硬さ:調整後オッズ比3.93、95%信頼区間1.03~15.02)。結論:胸椎屈曲とハムストリングスの柔軟性の低下は、出産後のPLBPと関連している。産後女性の胸椎屈曲とハムストリング柔軟性に対する介入は、出産後のPLBPの予防と改善に役立つ可能性があります。