上村優子、安井俊之
背景:体組成は生活環境の変化に伴い変化しているが、日本人の若年女性における客観的な人体計測による骨盤サイズに関する研究はこれまでなかった。本研究では、傾斜角(AOI)と左右の前上(AS)腸骨棘間の距離を測定することで骨盤の形状を調べることを目的とした。また、日本人の若年女性におけるこれらの測定値と骨盤の歪みに関連する身体症状との関連性についても検討した。
方法:女子大学生92名におけるAOIと左右の前上腸骨棘間の距離を、新たに開発した姿勢分析装置と自記式質問票を用いて測定した。
結果: AOIの平均値は0.31ラジアン、左右の前上腸骨棘間の距離の平均値は270.1 mmであった。左右の前上腸骨棘間の距離は、体重および身長と有意な正の関連を示した。 AOIの3分位別にみると、AOIの大きい被験者の多くは、「上肢を挙げた際に、左右の手の指の高さが異なる」という項目に肯定的に回答した。左右のAS腸骨棘間の距離の3分位別にみると、距離の大きい被験者の多くは、「下肢の過去の怪我が治癒していない」と「足を横に組んで座っている」という項目に肯定的に回答した。
結論:体重と身長の増加は骨盤の形状と関連していることが示された。また、「上肢を挙げた際に、左右の手の指の高さが異なる」という項目によって、骨盤の大きさの変化を推定できることが示された。